厚生労働省が6月23日に公表した2024年度の「労働災害動向調査結果」(PDF)によると、事業所規模100人以上の企業における労働災害の状況は、災害発生頻度を示す「度数率」が2.10(前年比0.4ポイント減)、災害の重篤度を示す「強度率」が0.09(変化なし)、死傷者1人当たりの「平均労働損失日数」は43.5日(同3.5日増)となった。
このうち総合工事業を除く建設業は、「度数率」が0.81、「強度率」が0.03、「労働損失日数」が31.5日と全体平均を下回ったが、総合工事業では「度数率」が1.91、「強度率」が0.57、「労働損失日数」は296.6日となり、他の産業と比べて災害の深刻さが際立っている。
職別工事業は、「度数率」が1.65、「強度率」が0.06、「労働損失日数」が35.4日。設備工事業は、「度数率」が0.69、「強度率」が0.02、「労働損失日数」が30.2日だった。

産業別労働災害率(資料より抜粋)
土木工事での災害が重大化
総合工事業における労働災害の推移をみてみると、前年比で「度数率」が0.22ポイント上昇、「強度率」が0.28ポイント上昇、「労働損失日数」が122.4日増となり、いずれもこの1年で大きく悪化している。
工事の種類別にみると、「土木工事業」の度数率は2.02、強度率は1.19、労働損失日数は590.3日。「建築工事業」の度数率は1.88、強度率は0.39、労働損失日数は207.0日で、土木工事の方が災害がより重大化している。

総合工事業の災害状況の推移(資料より抜粋)
同調査は、100人以上の常用労働者を雇用する約1万5000事業所(有効回答数1万60事業所)、総合工事業の延べ約5500現場(同4661現場)について集計したもので、年間の労働災害の発生状況を明らかにすることを目的として実施している。
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