経済産業省は4月18日、ガス温水機器の新たな省エネ基準(トップランナー基準)についてまとめた「ガス温水機器の新たな省エネ基準に関する報告書」を公表した。この中で、2028年度以降に製造されるガス温水機器のエネルギー消費性能(熱効率)について、22年度実績の85%から2.5ポイント引き上げ、87.5%にすることを目標として掲げている。
目標基準値は、「ガス瞬間湯沸器」のうち「自然通気式」が77.6%、「強制通気式」が85.6%×構造係数、「ガスふろがま」が89.8%×構造係数、「ガス暖房機器」が91.3%となる。
また、高効率なガス温水機器の普及に向けた取組についても言及。集合住宅や戸建住宅の建設事業者に対して、消費者がより省エネ性能の高い給湯器を選択できるよう情報提供すること、高効率給湯器(エネファームなど)や潜熱回収型給湯器(エコジョーズなど)の選択・設置に努めることなどを求めている。
“潜熱回収型”の普及促進
日本では家庭部門のエネルギー消費のうち、給湯分野のエネルギー消費量が約27%(2022年度)を占めている。そこで同省では、高効率な給湯器の導入を促進する支援策を設置。中でも導入ポテンシャルが高いとされる潜熱回収型の導入率を、22年度実績の37%から57%以上にまで引き上げることを目標として掲げた。
その一方で、エコジョーズをはじめとした潜熱回収型が積極的に選択されていない現状を指摘。建設事業者や販売事業者などが購入者の経済的ニーズに応えて、従来型給湯器を選択する傾向があるとしている。さらに賃貸住宅オーナー・管理会社がコスト低減のために従来型を選んだ結果、賃貸集合などの住宅居住者は、従来型給湯器が設置された物件を選択せざるを得ない状況にもなっている。
同省では今後も引き続き、高効率な給湯器の選択によって消費者が経済的メリットを享受できるよう取組を推進。給湯器の省エネ情報を整理して一般消費者に提供するほか、エコジョーズの施工時に必要となる自治体のドレン排水情報を収集し公表する。さらに給湯器メーカーに対し、給湯器の高効率化と併せて、量産による従来型との価格差縮減に努めるよう働きかける。
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