住友林業(東京都千代田区)が木造部分の構造設計と施工を担当した、愛知県立春日井高校一号棟校舎がこのほど完成した。基本設計・実施設計は松田平田設計(東京都港区)で、構造材や内外装に愛知県産材も活用し、地域貢献と環境教育の機会を提供しながらライフサイクルCO2を削減し、脱炭素への貢献を目指す。

完成した愛知県立春日井高校一号棟校舎
同校舎は、中央部分を木造、両端をRC造とした平面混構造の3階建て。柱、梁など木造部の構造、壁や床の木材利用量は約525㎥。木の調湿効果が空気の乾燥を防ぎ、勉強の集中力や休憩中のリラックス効果を高めるなど、快適な学習空間になった。基礎に与える荷重がRC造に比べて小さく、基礎の大きさが抑えられるためコストも軽減できるという。
また、長期使用を見据え、切妻の大屋根とバルコニーで軒下空間を設計。天井を確保し、空気の循環を良くしながら、外壁への雨がかりを防止。日常的なメンテナンスコスト削減や新校舎の維持・管理の負担を軽減にもつながるとした。
エンボディドカーボン(資材の製造や運搬、建設、修繕、解体時のCO2排出量)を算出したところ、炭素固定量は40年生のスギ約1200本に相当する約104tだった。外装やバルコニーのルーバーで日射負荷をコントロールすることで、オペレーショナルカーボンも削減する。
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