天井まで高さのある室内ドア「フルハイトドア®」を展開するKAMIYA(神奈川県伊勢原市)は11月12日、映像表示機能を内蔵した新製品「MILAOS(ミラオス)」を発売した。モニターを搭載したインテリアドアで、電源オフ時は艶消しブラックの鏡面仕上げで空間に溶け込み、オンにするとドア表面に映像が浮かび上がる音響や操作性も備えた体験型メディアとなっている。

「ミラオス」の説明をする
神谷忠重社長
特長として挙げられるのが、省スペース化、情報の自然な取得、高いデザイン性、マルチモニタリング対応だ。例えば省スペース化については、テレビやテレビ台が不要となることで居住空間の有効活用が可能となり、生活動線上にあるドアに映像が表示されることで自然な視認性と情報取得を実現。
神谷忠重社長は「ドアは単なる間仕切りではなく、空間を演出し、時を生み出す器」と語り、ミラオスを暮らしの中で新たな時間を創出するプラットフォームと位置づける。
開発の背景に挙げられるのが、動画や映像コンテンツ需要の高まりだ。スマホの画面は小さくて見づらく、また見る姿勢によるスマホネックも課題となっている。そこで同社はドアの前に有効スペースが確保されていることに注目。モニターを設置することでスクリーンとして活用できるのではないかという発想から開発をスタートした。
具体的には目線の高さにモニターを設置することでゴルフのスイングフォームやフィットネスの動作確認などがしやすくなり、下を向く必要がなく姿勢負担の軽減にもつながるとする。
搭載されるのはLG製の31.5インチ4Kスマートモニターだ。YouTubeやNetflixなどのVODサービスに対応し、Web会議、ビデオ通話、ニュース表示、ゲーム、ヨガレッスンなど多様な用途に活用できる。
きっかけはエイプリルフール企画
開発の起点は2018年のエイプリルフール企画に遡る。ボタン一つで壁の模様が変化する架空の巨大ドアが神谷社長の目に留まり、2024年から本格的な開発体制を整え、約1年で製品化に至った。開発には通常の倍となる20人以上が参加し、電波法、放熱設計、素材選定など多岐にわたる技術的課題を乗り越えた。
施工に特別な工法は不要で、一般の工務店でも対応可能。ただし、重量があるため2人での施工を推奨するほか、電気配線工事も必要となる。モニター部分は背面パネルを外すことで交換可能な構造となっており、特許も取得済み。これにより、メンテナンスやアップグレードにも柔軟に対応できる。
販売は家電量販店ではなく、ビルダー、設計事務所、住宅メーカー、リノベーション業者など住宅業界を中心に展開する方針だ。販売目標は設けず、「作りたいものを作る」という信念のもと、顧客の声を反映しながら改良を重ねていく。
今後は木目調デザインの追加、専用アプリの開発、カメラ機能の搭載、全面モニター化など、さらなる機能拡張を視野に入れる。KAMIYAはミラオスを通じて室内ドアの常識を覆し、住まいの在り方そのものに変革をもたらすことを目指す。
販売価格は税抜50万円から(オープン価格)。扉幅900mm、高さは2400mm。

ドアに液晶モニターを組み込んだ”体験型メディア機能”を搭載した「ミラオス」
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