木材利用推進中央協議会(東京都千代田区)はこのほど、2025年度の木材利用推進コンクール受賞施設を発表した。1993年から30年以上にわたり開催されてきた同コンクールは、「優良施設部門」と「国産材利用推進部門」の二部門で構成されている。「優良施設部門」は木材利用の促進を目的とし、特色ある木造施設等を対象としたもので今回特賞15点及び優秀賞31点が選ばれた。一方、「国産材利用推進部門」では国産材利用に積極的に取り組む企業の活動を評価対象としたもの。今回、特賞5点が選定された。
本年度の優良施設部門では、内閣総理大臣賞に岡山市の「NISHIGAWA TERRACE」が選ばれた。同施設は西川緑道公園に面した敷地に建てられた木造複合施設で、「循環」をコンセプトに設計されている。地方都市の市街地に多い低層商業施設に適した一方向ラーメン構造を採用し、準耐火構造による木材現しの空間を実現した。
部材は地方の中小製材所で製作可能な構成とし、木材の調達から建設までを地域内で完結できる体制を整備。さらに、雨水循環による菜園への灌漑システムも導入されており、「地方で展開可能な都市木造の新たなモデルとして期待される」との評価を受けた。
施主はティーハウス、設計は竹下和宏建築設計事務所と木下洋介構造計画、施工はミナモト建築工房(岡山県岡山市)が担当した。主要構造は木造軸組工法と鉄骨造で、延床面積は468.36㎡、使用樹種はヒノキとスギだ。

内閣総理大臣賞を受賞したNISHIGAWA TERRACEの内観
また、今回審査委員会特別賞に輝いた複数の事例の中で特に注目したいのが、鹿児島県霧島市の「小浜ヴィレッジ」だ。地元工務店による完全民設民営のまちづくりプロジェクトで、11代にわたり林業・製材業を営んできた背景を生かし、7つのオフィスと6つの店舗が入居する複合生活拠点となっている。構造躯体から壁、床、ブリッジ、手すりに至るまで鹿児島県産材を使用し、「地材地建」の理念を体現。建築家、構造家、家具デザイナーらとの協働により、挑戦的な木材利用を展開した。
施主と施工は住まいず(鹿児島県霧島市)、設計はフジワラテッペイアーキテクツラボ(東京都渋谷区)。主要構造は木造軸組工法で、延床面積は1,207.11㎡。樹種はスギとヒノキを使用している。

審査委員会特別賞を受賞した7つのオフィスと6つの店舗からなる小浜ヴィレッジ
国産材利用推進部門では、農林水産大臣賞に三井ホームが選ばれた。同社は、従来主流であった輸入材に代わり、国産スギ材を使用したツーバイフォー製材を西日本エリアで導入。その後、トドマツ材を加えて東日本にも展開し、現在では全国で国産木材を活用する体制を整えている。
この他にも在来軸組工法用の国産杉ネイルプレートトラスなどの新商品や独自技術の開発を通じて、国産材利用の拡大に貢献。さらに、木造建築による炭素固定量の試算・公表や「国産材活用住宅ラベル表示」の運用など、木材に関わる社会的課題への対応や普及啓発に積極的に取り組む姿勢が評価につながった。
なお、これらの賞については10月28日、東京都江東区の木材会館で表彰が行われた。
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