国土交通省は3月3日から、「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」(以下、住宅ストック形成事業)と、「地域特性を踏まえた住まいづくりのための住宅金融モデル事業」(以下、地域課題解決型金融モデル事業)の募集を開始した。応募締め切りは3月31日まで。
住宅ストック形成事業では、良質な住宅ストック形成を推進するため、住宅の維持向上や適正な評価、流通・金融などに対する一体的な取組みに対して支援を実施。現在の住宅市場では、良質な住宅ストックが適正に評価されず、維持管理やリフォームに対してインセンティブが働かない状況になっていることから、同事業により良質な住宅ストックが適正に評価される市場の形成を目指す。

事業イメージ(資料より引用)
募集する事業は、「先導型事業」と「普及型事業」の2種類。「先導型事業」では、新築住宅および既存住宅で新たな流通商品の開発を支援。例えば、▽売買時に住宅の良質性や維持管理の質、将来性を評価し、適正価格で取引される環境を整備する取組み▽必要なリフォーム工事内容や工事費用をAIで自動算出し消費者にわかりやすく提示する取組み―などを想定している。
「普及型事業」では、既存住宅を対象に長期優良住宅認定制度、「安心R住宅」制度、瑕疵(かし)保険制度などの施策を活用した取組みに支援を行う。一例として、住宅ストックの性能向上を踏まえた評価について普及を図る取組みなどを挙げている。
補助額は、
①開発に係る費用(インスペクションの方法の開発など):上限2000万円
②体制整備・周知に係る費用(チラシ・ホームページ、説明会の開催など):上限1000万円
③性能維持・向上に係る費用(インスペクション、住宅履歴、瑕疵(かし)保険、維持管理計画など):上限100万円/戸
(※質向上のためのリフォーム費用の補助率は経費の3分の1)。
「先導型事業」では①②に係る経費、「普及型事業」では②③に係る経費が対象となる。
地域課題解決型金融モデルを募集
地域課題解決型金融モデル事業では、地域の課題に精通した金融機関などとの連携により、先進的な取組みを行う事業を支援。例えば、▽リフォームによる価値向上を反映させた既存住宅の適切な担保評価の推進(既存住宅価値発見モデル事業)▽リバースモーゲージのリスク分析モデルの構築(リバースモーゲージ・リスク分析事業)―などを想定している。
他にも地域課題を解決する事業として、▽移住希望者への非対面融資審査などのフィージビリティスタディ(実現可能性調査)▽融資ノウハウが整っていない分野(ZEH、伝統建築物など)での関係事業者(金融機関、工務店、評価機関など)のマッチング―などを一例として挙げている。

2025年度の募集内容(国交省公表資料より引用)
■関連記事
25年度国交省予算 住宅・建築物の耐震化に185億円
全国知事会、地方創生本部に提言 「子育てしやすい住宅を」
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。