2025年度グッドデザイン賞の最高賞「グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)」に、能登半島地震の被災地で建設された木造仮設住宅が選ばれた。DLT(Dowel Laminated Timber)工法を用いたユニット型仮設住宅で、石川県珠洲市と輪島市に計12棟・166世帯分が建設された。


2025年度のグッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)に輝いた「DLT木造仮設住宅」
この仮設住宅は、木材に穴を開けて木ダボを挿し込むことで接着剤を使わずにパネル化するDLT工法を採用。DLTを箱型ユニットに加工し、それを積み上げることで短工期・高施工性を実現した。専門職が不足する被災地において、一般作業員でも施工可能な点が高く評価された。
設計は坂茂建築設計とNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークが担当。DLTの製造には大型設備が不要なため、地元の中小製材工場が連携し、地域資源を活用した迅速な供給体制を構築した。
仮設住宅は通常、一定期間後に撤去されるが、本住宅は恒久的な利用も可能な仕様。室内にはDLTの木材があらわしで使われており、入居者からは「木の香りが心地よい」「気分が落ち着く」といった声も寄せられているという。

「DLT木造仮設住宅」の内観
建設地は珠洲市宝立町と輪島市堀町。珠洲市では9棟135世帯、輪島市では3棟31世帯が整備された。建築は坂茂建築設計、施工は家元(石川県金沢市)、DLT加工は長谷川萬治商店(東京都江東区)が担当。構造設計には陶器浩一+高橋俊也構造建築研究所などが参加した。
今年度のグッドデザイン賞のテーマは「はじめの一歩から ひろがるデザイン」。社会課題の解決に向けた実装力や、地域・産業との連携、持続可能性などが重視された。国内外から5225件の応募があり、1619件が受賞した。審査は約100人の専門家によって行われ、各カテゴリーから最も優れた20件が「金賞」に選ばれ、その中から「DLT木造仮設住宅」が最高賞である「グッドデザイン大賞」に決定した。
このほか住宅、建材関連でも多数がグッドデザイン賞を受賞した。主な受賞作品は以下の通り。
・PUMPMAN/透水コンクリート型枠パネル「ドットコンプラス」(グッドデザイン金賞)
・東神開発/玉川髙島屋S・C 西館ストリート/フードコート「P.」(グッドデザイン金賞)
・エネルギーまちづくり社・東京大学工学系研究科建築学専攻・NPO法人上田市民エネルギー/学校断熱ワークショップ(グッドフォーカス賞)
・髙橋昌之建築設計事務所/守谷の住宅(グッドデザイン・ベスト100)
・AQグループ/純木造8階建てオフィスビル「AQ Group本社屋」など2点(グッドデザイン賞)
・ケイミュー/屋根納まり部材「KMEWスマート役物納まり」(グッドデザイン賞)
・トーコー/換気ユニット「TK-BASIS(ティーケイ ベイシス)」(グッドデザイン賞)
・ニチハ/「鉄骨造向け外壁防火構造 プラスター・モエン外壁防火構造」(グッドデザイン賞)
・ノーリツ/ハイブリッド給湯システム「HPHB R290シリーズ」(グッドデザイン賞)
・LIXIL/システムバスルーム「bathtope」など7点(グッドデザイン賞)
・YKK AP/カーポート「プレーンルーフ」(グッドデザイン賞)
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