国土交通省が1月30日に公表した「民間建築物のアスベスト飛散防止対策に関する調査」結果(2023年度)によると、吹付けアスベストなどの飛散防止対策への対応率は96.2%となり、22年度から0.6ポイント増加した。
同調査は春季建築物防災週間の一環として、2023年3月1日から7日にかけて実施したもの。1956年から1989年までに施工された民間建築物のうち1000㎡以上のものを対象に、吹付けアスベストおよびアスベスト含有吹付けロックウールへの対応を確認している。
これによると、調査報告のあった25万2045棟のうち、吹付けアスベストなどが露出した状態であると報告された建築物は1万4936棟だった。このうち指導により対応した建物は1万2391棟、今後対応を予定している建物は477棟となっている。

アスベスト対策調査結果(国交省報告資料より引用)
東京・沖縄などで対応に遅れ
都道府県別では、福井県が全建築物(100%)に対応しているほか、神奈川県・香川県(99.8%)、鳥取県・徳島県(99.7%)などで対応率が高かった。 対応率が最も低かったのは東京都の87.1%。次いで、沖縄県(93.3%)、大阪府(93.8%)、滋賀県(94.2%)、北海道(95.4%)の順となった。東京都は前年比では5.7ポイント、大阪府は1.2ポイント改善している。
また、2024年3月時点の都道府県におけるアスベスト対策に関する補助制度についても公表。調査・除去に対する補助制度があるのは、東京都、富山県、長野県、鳥取県、長崎県など8都県と、札幌市、横浜市、名古屋市、大阪市、北九州市など19政令市。融資があるのは新潟県、石川県、福井県、静岡県、福岡県など11県。制度が終了したのは福島県、兵庫県、新潟市など6県1市、予定なしは北海道、大阪府、滋賀県など14道府県だった。
同省では、吹付けアスベストなどが露出している建築物の所有者に対し、除去・封じ込め、囲い込みの対策を促すよう地方公共団体に要請。報告のなかった所有者への調査を継続して求める考え。
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