帝国データバンク(東京都港区)は1月24日、コンプライアンス違反企業の倒産動向調査の結果を発表した。2024年のコンプラ違反倒産は、前年比10.5%増の388件と3年連続で前年を上回った。2年連続で300件を超え、過去最多を更新した。
業種別では、「サービス業」が122件(構成比31.4%)で最も多く、「建設業」が68件(同17.5%)と続いた。「不動産業」は11件(同2.8%)だった。

(左)「コンプライアンス違反」倒産件数推移、(右)業種別の内訳(2024年)
違反類型別では、「粉飾」が95件(構成比24.5%)と最も多く、過去最多となった。ゼロゼロ融資など各種支援策の返済期限が到来したタイミングで発覚するケースが目立ち、3年連続で増加している。負債規模も大型化し、金融機関をはじめ多くの取引先を巻き込む倒産が発生している。労働安全衛生法違反や指定取消などの「業法違反」は72件(同18.6%)で、うち26件は「運輸業」だった。資金流出や横領といった「資金使途不正」は70件(同18.0%)と前年から増加。雇用調整助成金などの「不正受給」(49件、同12.6%)も急増し、2年連続過去最多となった。

違反類型内訳(2019年~)
2024年の倒産件数は9901件(前年比16.5%増)と増加傾向で推移するなか、コンプラ違反倒産も過去最多を更新し、倒産全体の約4%を占めた。コンプラ違反に対する社会の目は厳しくなっており、違反の発覚が信用の失墜と取引先・消費者の離反を招くことから、倒産リスクが一気に高まる。2025年に入ってもコンプラ違反倒産が散見され、今後も増加傾向で推移するとみられる。
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