新築戸建て住宅の市場は小さくなるばかり。新たな工務店の有力市場と見られている分野の一つが非住宅木造だ。しかし、営業、設計、施工、あらゆる面で住宅の常識が通用しない部分も多い。工務店が非住宅木造の市場をモノにするためのヒントを、エヌ・シー・エヌ特建事業部部長の福田浩史さんに聞いた。
―新築戸建て住宅の市場が落ち込む中、新たな市場として非住宅木造に注目する工務店は少なくないのでは。
福田 SE構法登録店の中でも非住宅分野に取り組み始めている企業が現れているし、木造化の潮流の中で全体のパイも増えている。しかし、大多数の工務店にとっては「何から手をつければいいのか、よくわからない」のが非住宅木造という分野だろう。
例えば店舗を受注したいと思ったとして、誰に営業したらいいのか、住宅中心の工務店にとってはわからない。また、住宅なら工務店ごとに標準的な仕様が決まっていたりするので、日常業務として顧客の要望に沿った設計を提示できるが、非住宅となると設計や見積もりの手順も不明瞭で、あちこちでつまずいてしまう。
非住宅木造は、メディアでも取り上げられるような大規模な事例が目立つが、実は300~500㎡程度の規模の割合が圧倒的に多い。戸建て住宅の延長線上にある非住宅のニーズを、どうアプローチして受注につなげるか。
―先行して非住宅を自社の事業に取り込むことに成功している工務店も見かける。コンスタントに受注している工務店の共通点は。
福田 当たり前のことかもしれないが、建て主からの相談に対し、用途に合ったプランを提示し、建築費の概算をきちんと回答できることに尽きるのではないか。木造にするには不合理なプランをつくってしまい、いざ積算したらかなり高額になったために建て主が離れてしまったというケースも聞く。木造化するための要件整理が、私たちのような外部のパートナーと連携してでも的確にでき、非住宅でも正確に積算できる体制ができている工務店は強い。
非住宅木造の建て主は大きく分けて2パターンある。ひとつは環境配慮で企業価値を高めるために、イニシャルコストがかかっても店舗や施設を木造化したい企業。もうひとつは木造のほうがコスト上有利であったり、優れた温熱環境が実現できるといったメリットから木造を選択するケース。例えば医院や診療所などで、こちらは設計者や工務店からの提案で実現することが多い。
―住宅に近い規模であっても、住宅とは違う、非住宅なりの構造やプランが求められることもあるのか。
福田 先ほどの話とも被るが、最近では木造以外の構造を前提にした設計を、木造に置き換えたいという話も多い。これだとかなり無理をしないと木造では成立しない。他構造での設計が先にあると、木造化の実現可能性は著しく低下する。
木造は住宅産業によって成熟してきた世界。この中で、プレカットも含めて調達しやすい材料でつくれるプランやテクニカルな解決策が存在しうる建物であればメリットも大きく、木造化しやすい。工務店にとって木造を前提に営業・提案することはそう難しくないはずだ。
設計・調達・プレカットを
ワンストップで対応
―非住宅に取り組む工務店に対し、エヌ・シー・エヌが提供するソリューションの特徴は。
福田 非住宅の場合、構造設計事務所が構造図の作成から確認申請、概算見積もりまでを担当し、プレカット事業者が自社で加工できるかを検討したうえで積算や材の調達・加工を担う。現場ではプレカットした材を構造図通りに組み立てる―こんな流れが一般的ではないか。小規模な建築物ではあまりないが、500㎡を超えると特殊な材・加工が必要になるケースも増え、実現性の検証、材の調達や加工に時間を要する。
弊社では、構造設計事務所としての機能に加え、材料の調達やプレカット、現場まで一気通貫で支援ができる。「サプライチェーンを持った構造設計事務所」と考えていただければわかりやすいと思う。サプライチェーンを持っていることで、例えば各地で地域材利用に対する補助が行われているが、構造設計の段階で必要な断面の見当がつくので、材もスムーズに調達できる。
提携しているプレカットは全国に10拠点以上あり、加工能力も全て把握済みだから、どこなら規格外の仕口を加工できるかもすぐにお答えできる。コストも同時につかめるので予算を理由にした失注も減る。設計の段階からご相談いただければ、そのあとの工程が大変効率的に進められるし、木造化率をぐんと高める支援が弊社の最大の強みだと考えている。
今までは、プロセスごとに関わる事業者が分断されていたので、トラブルも少なくなかった。弊社は住宅で一気通貫の体制ができていて、実績もたくさんある。非住宅でも手厚くフォローできる。
非住宅特有のニーズに
SE構法で応える
―特に工務店と親和性が高い小規模な非住宅木造に対する、SE構法のメリットは。
福田 大規模な建物でも、在来工法を用いて、住宅の延長線上で設計しようと思えばできないことはない。だが、弊社にお問い合わせをいただく案件を見ると、非住宅では「見栄えの良い店舗」、「かっこいい事務所」など、 “外向き”で、他にはない設計が求められやすい傾向がある。
在来工法やツーバイフォーは合理的な構造なのだが、こちらは高齢者施設など住宅に近い空間に向いている。店舗のように壁や柱が少なく、開放的な空間をつくりたいというニーズに対し、ラーメン構造であるSE構法の強みが発揮された事例は多々ある。
2025年4月の建築基準法改正では、構造計算が必要な規模が500㎡から300㎡に引き下げられる。この改正に対応できる体制を構築するためにも、パートナーとして弊社の存在を認識していただきたい。
(sponsored by エヌ・シー・エヌ)
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