アレッタが展開するマーケティングと商品戦略の核心は、徹底的なターゲティングと、その結果として生まれる“尖った世界観”のブランド(住宅)の構築にある。「特定の人に“刺されば”いい」という同社社長の伊勢康弘さんの考えに基づき、緻密にペルソナを設定することが、単なる商品開発だけでなく、「誰のために家をつくるのか」というスタッフの意識を強くし、自社の家づくりへの自負やチーム力の向上にもつながっている。【編集部 関卓実】
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左:アレッタが手がけた住宅の外観。シンプルモダンのデザインが特徴、右:LDKから直接つながる塀で囲われたテラス(中庭)はアレッタの住宅を象徴する定番だ |
同社の家づくりでは、営業・プロモーションの手法から住宅のプラン・仕様に至るまで、全社員で話し合って決めたペルソナをもとに導き出す。ペルソナには「フルタイム勤務の看護師として働き、同い年の夫と、保育園に通う1歳の子どもを育てながら姫路市内の賃貸(2DK)で暮らす28歳女性」という具体的な人物像を設定。ライフスタイルや趣味・嗜好、夫婦の収入、休日の過ごし方、悩み事に至るまでを詳細に描き出している。そこから、どのような暮らしを求めているのか、どんな住まいが心を動かすのかを検討し尽くした結果として同社の住宅がある。
伊勢さんは「ペルソナを極限まで絞り込むことで、住宅のプランも必然的にその人のためだけの尖った(限定的な)ものになる」とし、「それが結果として差別化や特定の人に強く刺さる訴求力の高いブランドを確立することにつながる」と語る。姫路市内とその周辺部を中心とする商圏で、現状の年間新築受注16棟という同社の経営規模であれば、「競合を避け、できるだけニッチを狙うのがベスト」というのが伊勢さんの考え方だ。
また、ペルソナを絞り込んで「誰のために」というイメージが具体的になることは、スタッフの家づくりへのモチベーションや結束力を高めることにもつながる。さらに・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号2面(2025年6月30日発行)に掲載しています。
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