47都道府県の知事で組織する全国知事会は7月17日、「第9回国産木材活用プロジェクトチーム会議」(リーダー:小池百合子東京都知事)を開催。2025年度の「国産木材の需要拡大に向けた提言(案)」(PDF)について協議したほか、長野県など3県による取組事例の発表、国産木材活用に関するアンケート結果の公表を行った。
CLTの活用など重点に
提言案では、米国の相互関税の影響により木材の輸出入動向が不透明とであることから、国産木材の需要拡大に向けた取組を加速させるべきだと強調。あわせて森林資源の循環利用を進め、再造林・保育・間伐といった森林整備を推進すると明示した。
重点事項は、前年の提言から大きな変更はないものの、▽JAS構造材の活用支援▽CLTの民間建築物での利用、中高層建築物への活用に向けた設計・施工技術の確立▽木材・木材製品の海外販路拡大▽幼少期から木材に親しめる環境の創出(木育)▽子育て施設での国産木材の利用▽消費地(都市部)と生産地(山間部)をつなぐ取組への支援―などを改めて盛り込んだ。
全国で進む国産材利用
国産木材活用に関するアンケート結果では、2019年に公表した「国産木材需要拡大宣言(10項目)」(PDF)の実施状況について調査。ほぼすべての自治体が「取り組みを実施している」と回答した。中でも、「施主に国産木材の利用拡大に向けて積極的な働きかけを行う」との項目では、42の自治体が「取組を強化している」と答えた。

国産木材需要拡大宣言の取組状況
2025年以降に注力する事項については、各都道府県から▽生産事業者、製材工場、県内工務店などの連携による県産木材の安定供給(山形県)▽「木造建築の建て方~耐震性~」の作成による耐震性イメージの払拭(富山県)▽被災者の住宅再建での県産材利用(石川県)▽一・二級建築士、木造建築士を対象とした「木造建築設計セミナー」の開催(三重県)▽建築士を対象とした設計技術相談窓口の設置(広島県)▽花粉の少ない苗木の生産拡大に向けた採種園・採穂園への支援(高知県)―などの取り組みが挙がった。
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