ヒートポンプ・蓄熱センター(東京都中央区)は「令和7年度ヒートポンプ等普及見通し調査報告書」を公表した。報告書ではヒートポンプ及び電化機器の普及度合いに応じた低位・中位・高位シナリオを設定している。この中で、政府の政策努力が加速し、更なる対応が強化された場合を想定した中位シナリオにおいて、各部門の熱需要を賄うボイラ等をヒートポンプで代替した場合の効果を分析。それによると2050年度には一次エネルギー消費量2014万kL削減、CO2排出量5430万トン削減、経済効果1兆7100億円が見込まれるとした。
報告書はヒートポンプ等の普及拡大による効果を多角的に分析したもの。これまで、数年ごとに普及見通しに係る定量的分析、経済波及効果の分析、環境熱利用量の推計を実施してきた。本年は新たにヒートポンプ式給湯機による需要調整ポテンシャルの推計も行っている。
このうち、家庭部門におけるヒートポンプ普及の経済波及効果について、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、更に電化が推進されるなどした「高位シナリオ」で試算。直接効果は2030年度に約1兆円、2050年度には約1兆3000億円を見込み、これに伴う一次波及・二次波及を含めた生産誘発額は2030年度で約2兆2800億円、2050年度で約2兆9500億円に達するとした。
報告書はヒートポンプの普及が日本のエネルギー自給率向上に間接的に貢献するもので、ZEHなどの実現にヒートポンプ・ハイブリッド給湯機は有用とする。一方、現行の省エネ性能計算プログラム(WEBプログラム)では、省エネ効果やCO2削減効果を十分に評価できない現状に言及。普及拡大には評価方法の見直しが必要と問題提起を行っている。
また、既築住宅では空調や給湯がエネルギー消費の大きな割合を占めるが、抜本的な対策は進みにくいのが現状と報告。その上で、断熱改修に比べれば熱源対策は導入しやすい領域であることから、設備設置スペース制約や配管インフラ制約などの課題を克服し、ヒートポンプの導入拡大を図るべきだとした。
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