国土交通省は2025年12月10日、建設業法および入契法の改正が同月12日に全面施行されることを受け、民間発注者団体に対し正式な通知を発出した。建設業の処遇改善や働き方改革、生産性向上を通じて担い手を確保し、産業の持続可能性を高めることを目的とした制度改正の趣旨を説明する内容となっている。
通知では今回の改正法について、受注者に対する不当に低い請負代金や著しく短い工期での契約締結禁止規定が建設業者自身にも適用されると指摘。また、建設工事の見積書に材料費や労務費などの記載事項が明確化され、通常必要な額を著しく下回る見積提示や変更依頼が禁止されるとした。
さらに、昨年9月の一部施行により中央建設業審議会が作成・勧告できるようになった「労務費基準」について、同審議会が12月2日に正式に勧告したことにも言及。これにより、公共・民間を問わず、発注者から元請、下請、再下請に至るサプライチェーン全段階で適正な労務費を確保し、技能者の賃金として確実に支払う制度的枠組みが整うとした。
同省は通知の中で、建設工事の受発注者は本来パートナーであるとの認識を共有し、技能者の賃金の原資を削るダンピング競争を撲滅する必要性を強調。適正な賃金支払いとその原資確保のための措置を講じたことを踏まえ、発注者に対して制度の趣旨を深く理解し、実効性確保に向けた適切な対応を取るよう強く求めている。併せて、民間発注者団体に対し、傘下の事業者への周知徹底を呼びかけた。
本改正の全面施行により、担い手確保と建設業の持続可能性向上を目指す総合的な取り組みが本格化する。同省は、適正な賃金支払いが行われる環境の構築を急ぐ方針だ。
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