いばやし建築(富山県高岡市)は、代表で大工棟梁の井林一敏氏が主要な工事をみずから担当。災害対応を組み込んだLCCM住宅を提案するという独自色の強い工務店。前半はコストダウンを実現するための設計施工体制について、後半はその手法を生かしたLCCM住宅について井林氏への取材をもとにまとめた。
ポイント① 自前率の高い独自の施工体制
◉いばやし建築は代表の井林一敏氏1人の工務店。必然的に営業を始めとして設計、施工管理などをすべて1人でこなすことになる。加えて井林氏は大工であり棟梁としても現場に関わる
➡このほか基礎工事から始まり、セルロースファイバー吹き込み工事、左官工事などさまざまな工事を井林氏がみずから手掛ける
◉井林氏の設計施工体制が一般的な工務店と異なるのは同氏が提案している住宅が災害対応を組み込んだLCCM住宅であるため。UA値0.26の躯体性能に加えて水害対策として高基礎を採用
➡ハザードマップの浸水深(地盤面から1mなど)まで布基礎の立ち上がりを設ける。その部分も木造の壁と同等の断熱性能が必要になる
◉壁断熱は高性能グラスウール355㎜厚となるので、基礎立ち上がりは防蟻EPS200㎜厚による基礎外断熱が必要になる。地元には高基礎+基礎外断熱打ち込みに対応できる基礎屋は皆無に近いためみずから施工
◉見積りに応じる基礎屋もわずかにあるがかなり高額。加えて上部構造も高耐震や高断熱なのでその分のコストも掛かる。一般的な高性能住宅のコストに抑えるには施工の自前率を高めるしかない
ポイント② 営業活動はせずに施工に専念
◉同社は営業の流れも独特で現状のPRはほぼツイッター。それも同社の見込み客である「プロ施主」の同社に関するつぶやきが起点になっている。井林氏はプロ施主に促されてたまに投稿する程度
◉それでも同社に家づくりを依頼する強固なファンが増えてきており、現在5組が予約中。年間2棟ペースなので最大で2年半待ちの状態。広報と営業に掛ける労力がほぼゼロなので家づくりに注力できる
◉井林氏はみずから施工する範囲が広いこともあり、最近は・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー3月号(2023年2月28日発行)/設計施工を究める超家づくり術<超高性能編>』(P.60~)でご覧ください。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。