新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、稲葉元一朗さんの「「戸建・性能向上リノベーション事業(競争戦略×事例研究)」」ルームからの記事です。

19年間、コンサルティング会社にてリフォーム業界向けコンサルティングに従事。
立教大学ビジネススクールにて、リフォーム業界の競争戦略を研究。
2019年1月に独立。
戸建リノベーションビジネスの研究及び、複数の中小工務店の社外ブレーンとして活動中。
地球の会 賛助会員。
MBA(経営学修士)
リノベーション事業への業態転換し、3年間で70棟(2000万円級リノベ中心)
今回は日本ではまだ例が限られる新築工務店からリノベーション会社への業態転換について、概要と事例を下記にまとめます。
まず業界内の動向ですが、マッチングサイトや工務店YouTuberさんに対してさらに「建て替えかリノベーションか迷っている」という相談が増えているようです。建て替えの値上がりが顕著なのと、リノベーションが認知されてきていることが要因だと考えています。
日本では2025年の省エネ基準義務化が見送りになる可能性も出てきましたがドイツでは2000年頃に国の方針が既存住宅へシフトしたこともあり、その後、住宅業界の雇用人口は約6割になったと言われていますが、住宅全体の需給バランスが変化する中で、リフォーム・リノベーションの専門会社へ業態転換し、活路を見出した例も多く存在します。
一方、日本ではとにかく新築を追求するという方針でパワービルダーも攻勢をかけていますし、性能面を訴求した新たな規格住宅も出てきており、ドイツのような産官が連携しストック住宅の活性化を加速させるような動きはまだ弱いのが現状です。市場縮小が確実視されている中、各社の経営判断が問われている状況です。
※全業界のうち、業態転換の予定ありが20.3%(帝国データバンク、11479社集計/2021年1月発表)
工務店経営はできるだけ同じ業態、同じ業態で事業展開していくことが基本ですが、外部環境がこれまでの延長戦上では成果を出しにくくなった場合は、もちろん本体の規模にもよりますが、中には業態転換という選択肢が浮上する会社も出てきます。
ただし、市場の変化(規模、成長性)、競合状況、自社の経営資源の適合という視点で、判断し、業態転換を図るべきで、下記にポイントを記載します。
<業態転換のポイント>
・トレンドではなく大きな潮流を見る
・自社(新築事業)の強みを活かせるかどうか
・会社のDNAとの融合
・強みや差別化要素は独りよがりではなく、市場、顧客視点で付加価値となるものか
・強みや差別化要素は他社にとって模倣しづらいか
・販促コストの最適配分(投資すべき要素はどこか見極める)
・新業態の顧客接点すべてにおいて、クオリティを高めること、一貫性を持たせること
・新築事業と同じ要素、同じでない要素を見極める…
▼稲葉元一朗さんの他の記事はこちらのルームから▼
「戸建・性能向上リノベーション事業(競争戦略×事例研究)」
▽「チカラボ」とは?▽
https://chikalab.net/about
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。