新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、高木健次さんの「データ×現場 で考える工務店経営」ルームからの記事です。

クラフトバンク株式会社/クラフトバンク総研所長(旧:ユニオンテック株式会社 旧:ConTech総研所長)。京都大学在学中に家業(建材卸)の倒産を経験し、ファイナンスと法律を学ぶ。ファンドマネージャーとして計12年、中堅・中小企業の事業再生・承継に従事。建材、住宅、製造業等を中心にデータに基づく再生プランを多数立案。自身も投資先に取締役、経営企画室長として出向して実行支援。災害被害を受けた企業の支援等も経験。建設業界で独自の取り組みを行うクラフトバンクに縁を感じ、2019年入社、大手法人営業を経て、同12月よりクラフトバンク総研シニアリサーチャー就任、2020年6月より現職。…
クラフトバンク総研の高木です。
さて、よく「建設業の地域格差」と言われますが、数字と金額でその差を比較した分析レポートはあまり公表されていません。
前回記事(2021年 建設業界 動向予測)で、コロナ禍の影響を受けた2020年新設住宅着工戸数の対前年比増減が、都道府県ごとに大きく差があることを紹介しました。
特に、岩手県等が突出して悪化していますが、これらの地域は新型コロナの感染者も、外出自粛の影響も他県と比較し少ないです。では、差の要因は「コロナ以外」でどこにあるのでしょうか?
人口と建設業 ~ 人が減れば家は建たない
以下の図は「新設住宅着工の対前年同期比での増減」「人口の増減」(2019年と2020年の対比)を都道府県別にランキングしたものです。(出所:国土交通省、総務省)
「新設住宅着工増減」「人口増減」の両ランキングの上位の顔ぶれは近いです。
下位を見ると47位の岩手県が一致しているほか、「人口が減った」都道府県で「住宅着工が増えた」例は2019~2020年の比較においては一つもありません。
若者を中心に24年連続で首都圏への転入超過(転入者が転出者を上回ること)が続いている点や、都道府県別の廃業率(地方の方が高い)など、他の統計も踏まえると、施主と職人が減る地域では家は建たなくなっていく、工事そのものが貴重になっていくという仮説が成り立ちます。
「チラシを配っても毎年集客の反応が悪くなっている」
「地方に行くほど工事会社が探せなくなる」
「関西、名古屋の会社が関東に進出する」
こういう事象が起こる背景には「町から人が減っている」があるのではないでしょうか。「毎年同じこと」を繰り返していれば、年々業績は悪化していきます。
職人の単価の地域別の差異など、地域差の要因分析については以下のリンクをご覧ください。
https://note.com/cri/n/nbe9cd4b72cbc
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