【特集】専門家・団体リーダーに聞く 「あり方検討会&たたき台」の評価と脱炭素施策~ZEH協

断熱性能等級は抜本的に改正、BEIは家電まで含めた真の消費量に変更を

エビデンス・定量評価・数理モデルをベースに政策決定・行政措置を。
学者はその作成に協力

坂本雄三氏(一般社団法人ZEH推進協議会 代表理事)

 
新建ハウジングでは、3省合同で開催されている「あり方検討会」(脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会)をうけてキーマンへの公開取材を続けている。このほど、専門家やこれまで住宅の省エネ・高性能化に取り組んできた団体のリーダーに、検討会の第3回で国交省が提示した「たたき台」の評価・感想や、今後の住宅分野における脱炭素施策への私見を寄稿いただき、検討会の竹内昌義委員に活用いただくとともに、新建ハウジングDIGITALで全文を公開する。
ここでは一般社団法人ZEH推進協議会代表理事・坂本雄三氏の寄稿を紹介する。

 

1.あり方検討会・「たたき台」について:高断熱・省エネ住宅の国民の経済負担軽減効果を数字で示して

これまでの住宅政策は高断熱・省エネ住宅の初期コスト高を、省エネ基準の適合義務化ができない理由の一つとしていたが、ライフサイクルコストで見れば、それは真実でなく、高断熱・省エネ住宅の方が国民の負担は軽くなることを徹底的に世に示すべきである。

3省合同検討会での決着に関係なく、ライフサイクルコストで見れば高断熱・省エネ住宅は、国民の経済的負担を軽減するものであることを、数字でもって示していただきたい。
検討会では、伊香賀先生(国民の経済的負担関係の論文が多い)によるエビデンスからの援護射撃を期待する。

 

2.省エネ基準の提案:等級3以下は廃止、現行等級4=新等級1、G1=新2、G2=新3、G3=新4に

現行の住宅性能表示制度の省エネルギー性に関する基準(断熱等性能等級及び一次エネルギー消費量基準)は、HEAT20のような高断熱やZEHを想定していないので、それらを想定した等級表示に抜本的に改正することを提起したい。

例えば、断熱性能等級の3以下は廃止し、現行の等級4を等級1に改める。これは耐震性能等級において、建築基準法に満たない性能のものは存在しないので、ぎりぎり満たしているものを等級1にしているのと同じ考え方である。

断熱性能等級は、HEAT20のG1が等級2、G2が等級3、G3が等級4にすればよい。また、BEIも、分母・分子を家電のエネルギーまで含めた真のエネルギー消費量に変更する。そうすると、BEI≦0が真のZEHということになる。省エネ等級は、こうした新たなBEIでランク分けすれば、レベルの高いものまで評価できることになる。

そのような改正を行った上で、先進的なビルダー(戸建住宅の)は、断熱性能が等級4(HEAT20のG3基準)、省エネ等級が最高等級(真のZEH)大きい住宅)を目指すべきである。

 

3.住宅の省エネ・脱炭素化について:大規模な既存住宅・建築物の省エネ改修・ZEB改修が最も有効

住宅・省エネ・脱炭素の3項目を考えた場合、この3つは関連を持つが、まずはそれぞれ単独に議論することから始めたほうがよい。
ということで、私は学識経験者の立場からこの3項目についてコメントする。

●住宅
当然のことながら、住宅生産者と消費者の立場から、時代の流れや現代のトレンドについて事実を紹介し、共通認識を深める必要がある。もちろん、住生活基本計画が基本であり、議論のスタートラインになる。
特に、住宅生産者や消費者は、多種多様でピンキリだから、共通認識を形成し省エネのための性能水準を策定するといっても一筋縄ではいかない。
私がいつも感じることだが、住宅と言うと、福祉政策や零細工務店、伝統建築業界などの立場から発言する人がいるが、行政側が、こうした人々を別建てでケア(補助金や、省エネ基準の非適用など)してくれれば良いと考える。

●脱炭素化
現代ではEVに見られるように、なんでも電気でできるようになってしまったので(住宅ではヒートポンプとIHによってオール電化)、脱炭素化の成否は「電気の製造方法」に尽きてしまう。一部、製鉄やセメント製造などではCO2が発生する方法かもしれないが、これも改善の道があるらしい。

つまり、発電がCO2を発生しない発電に完全に変われば、エネルギー(電気)を沢山使っても、脱炭素化になってしまう。よって、発電が原子力発電、再生可能エネルギー発電、水素利用などに切り替える計画がどう進むかが、脱炭素化の最大のポイントになる。
省エネもCO2削減に効果はあるが、限定的である。とすれば、脱炭素化は経産省や環境省が主役であり、国交省としては、住宅・建築での電化と省エネの促進が課題となる。

こういうことを定量的に把握したうえで、数理モデルを作り、どのような省エネ手法や政策がCO2削減に効果的なのかを計算して、採用する政策を決定すべきである。
ZEH義務化などと唱えても、それが本当に有効な政策かどうかは分からない。各政策の数量的な評価は可能であるので、予算をつけてそれを行うべきであり、学者も協力すべきである。

●省エネ
これが今回の最大のテーマであり、色々な提案がある。
エネルギー消費量の断熱の室温上昇効果については、ほぼ予測法が完備されていると考える。よって、あとは消費量等のランキングや行政措置の問題となる。

前項の脱炭素化で述べたように、各政策の数量的な評価が行われれば、どのような行政措置が有効であるかは、すぐ分かるので、その結果に従って省エネのための行政措置を進めればよいだけである。
私の見通しでは、既存の住宅・建築の省エネ改修・ZEB改修を大規模に行うことが、最もCO2削減に有効な政策と思われる。
新築住宅の高断熱化・真のZEH化は、日本全体の効果としては小さいが、将来(2050年を目指す場合)には有効であろう。
また、省エネと良い生活(well-being)は、表裏一体のものなので、良い生活にも注目すべきである。

 

一般社団法人ZEH推進協議会
ZEHの普及啓発、ZEHビルダーの事業支援。会員数:約200社。施工実績棟数:約5000棟

 

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