「Forward to 1985 energy life」vol.1(野池政宏)

 新建ハウジングプラスワン2011年5月号に掲載した野池政宏さんの連載を抜粋しました。これまでは「パッシブデザイン」について寄稿いただいていましたが、東日本大震災を受けて、当面パッシブデザインの解説をお休みし、「Forward to 1985 energy life」をテーマに寄稿いただくことにしました。そしてご期待ください(編集部)。

 筆者は日本という国の「注文住宅部/温熱省エネ課/技術普及担当課長補佐」といった役職にいると考えている。そうした立場で何ができるかを自問した。そこで出てきたのが、「Forward to 1985 energy life」だ。

キーワードは原発、経済、温暖化

 筆者はまず「原発をなくすにはどうすればいいか?」というシンプルな自問を設定した。

 現在の日本全体における原発のシェアは約30%。だから現状の電力消費量を約30%削減できればよい。またいま話題になっている夏の電力ピークを現状の20%ほどカットできれば原発が要らないこともわかった。

 もちろん、電力会社によって原発のシェアや電力ピークの状況は異なる。だから細かくは地域に応じた検討をしていかなければならないが、そういうことはまず置いておき、ざっくりと全体像を見ることが重要だろうと考えた。

 そこで過去に遡って日本全体の電力消費量の推移を追いかけていくことにした。すると、どうやら「1985年」というのが現在の電力消費量の約70%、夏の電力ピークが約80%になっていることがわかった。「そうか、とりあえずは1985年に戻ればいいわけだ」と考えた。
 そんなことを調べていると、名古屋大学准教授の高野雅夫さんという人がまったく同じ内容のコメントをブログに書いておられることを発見した。
 
 ただ単純に「1985年に戻る」という想定では間違ってしまう。経済を停滞させることになるからだ。特に産業部門にはがんばってもらわないといけない。つまり「産業部門の電力消費量は現状のままで、1985年に戻る」という想定をしなければならない。

 もうひとつ考えないといけないのが温暖化対策、つまりCO2排出削減だ。
 原発は経済とCO2排出削減が両立するひとつの切り札として扱われてきた。原発をやめるだけの話であれば、火力発電所をつくればよい。経済の停滞も大きなリスクになるので、一定期間はCO2排出削減よりも経済重視と考えて火力発電所を増設せよという意見もある。
 そのあたりの議論は経済の専門家に任せるしかないが、「原発にも火力発電所にも頼らずに経済の停滞を抑える」という方法を模索すべきなのは当然だろう。

 そこでは、自然エネルギーによる発電のシェアを上げることを考えることももちろん必要だが、やはり何よりの基本は省エネ、省電力消費にあることは間違いない。

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